晴れのち曇り ときどき溺愛
 真面目で仕事に厳しそうな見城さん。無邪気に笑う年下にしか見えないけど先輩である斉藤さん。後、二人はどんな人なのだろう。システム管理部は私以外は同じ場所で働いていたとすると、私は完璧なる部外者で合併で背負った『お荷物』なのかもしれない。


 もう少しで始業という時間になって営業室には二人の男の人が入ってきた。一人は温厚そうな年上の人。そして、あのお見合いの時に会った『下坂さん』だった。

 下坂さんは私を見ても表情一つ変えずに一緒に入ってきた男の人と私の前に立った。スーツは着ているけどお見合いの時と全くイメージが違う。完全にオフィシャルな姿だった。


「諸住梨佳さんで良かったかな?」

「諸住梨佳です。営業課から参りました。今日からこちらでお世話になります」


 そう言って私が頭を下げると、下坂さんは少しだけ頷くだけで顔を緩めることはなかった。


「私はこの営業課システム管理部の室長をしている下坂です。一緒に入ってきたのが諸住さんの指導員になって貰う井上さん。彼について少しでも早く仕事に覚えてください。早く仕事に慣れて欲しいと思っています」


「よろしくお願いします」
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