晴れのち曇り ときどき溺愛

「諸住さんの席は私の横で、その横に井上さんに座って貰う。後の二人はどこでも好きな場所で」


「あ、私はこちらで」


　そう言ったのは見城さんでコピー機と本棚が一番近いところで私の斜め前。必然的に斉藤さんは私の目の前に座った。机も棚も壁紙、そして床までもが新しく何もかもがスマートで居心地が悪かった。


「朝礼を始める」

　下坂さんの声でみんなが自分の席に座り静かになる。朝礼の内容は…。残念なくらいに下坂さんの言っている意味が何もわからない。正直、少しのパソコン関係の知識はあるからどうにかなるかもしれないと思ったけどそれは甘かった。全く役に立たない。


『補佐』と言う名の『お荷物』だということが骨の髄まで染みた。


　知らない言葉を書き留め、そして、貰った資料を必死に見つめる。数字の羅列一つにも意味があり、理解すれば分かるのだろうけど、下坂さんは資料の意味さえわからない私には目もくれずに厳しい声を響かせていた。