晴れのち曇り ときどき溺愛
　今までの営業課の朝礼は、朝礼が終わり次第、取引先に向かって動くのが当たり前だったけど、ここは誰も営業室を出ていく気配はない。自分のパソコンで仕事を始める。横に座る井上さんは穏やかに微笑み、そっと私の机に書類を置いた。


「ここの資料をコピーして冊子を全部で二十五部作って貰えるかな。終わったら声を掛けて。俺も自分の仕事があるから付きっ切りで教えることは出来ないけどコピーくらい出来るよね」

「はい」

「じゃ、とりあえずコピーをよろしく」


　営業室は誰もがゆっくりと動けるような十分なスペースがあって、コピー機の横には机も置いてあるし、使うのに必要そうな文房具も並んでいて冊子を作るという作業はしやすそうだった。コピーして部数を数えながら、それからホチキスをして、部署ごとに配布しないといけないと思いながらコピー機を見たら、それはいらぬ心配だった。


　コピー機は最新式で書類を印刷をして、書類の折りは勿論のこと、冊子に作るまで一気に出来るタイプだった。液晶画面を見て、指示通りに内容を読み込み、部数をセットすれば、冊子になって吐き出される。今まで営業課で使っていたものよりも高性能だった。
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