晴れのち曇り ときどき溺愛
 井上さんから貰った仕事が終わったのは定時を少し前で出来上がった資料を井上さんに渡すと、軽く捲りながらチェックしてくれた。自分でも見直しをしたけど、漏れがないかが心配だった。


「よく出来てる。それと歓迎会は明日で予約したけど大丈夫?」

「はい。でも、歓迎会は申し訳なくて」

「一緒に仕事するのだから普通に歓迎会はするよ。会社が合併したから、色々な部署で歓迎会が今週は行われると思う。近くの店は争奪戦になるね。きっと」


 そんな話をしていると営業室に下坂さんが戻ってきた。バッグの中から書類を取り出し、パソコンの電源を立ち上げる。定時のこの時間からまた仕事なのだろう。


「室長。明日の歓迎会ですが、いつもの店で予約しました」

「ありがとう。歓迎会のことは井上に任せる。諸住さん。帰る前に隣の応接室まで来て貰っていい?」

「はい」


 下坂さんについていくと営業室の隣の部屋が応接室となっていた。中に入るとそんなに広くはないけど豪華なソファセットが置いてあり、ここでも商談も行われるのだろう思わせるものだった。促されて目の前に座ると何を話すのだろうかと身構えた私に気付いたのか、下坂さんはフッと顔を緩めた。

「そんなに身構えなくていいよ。今後のことを話しておきたいと思っただけだから」

「はい」

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