晴れのち曇り ときどき溺愛
「会って断ればいいの?」

 
 玲奈が仕事に一生懸命なのも知っているし、秘書という立場ではスケジュールを自分ではどうしようもないのも知っている。それと、玲奈が自分の両親の立場があるというのも知っていて私に頭を下げてきているのも分かっていた。


「とりあえず食事をして、向こうから何か言われたら断ってくれたらそれでいいの。梨佳には本当に申し訳ないと思っている」


「そのお見合いの相手ってどんな人なの?」


「名前は進藤隆ニさん。どこかの会社の営業だったと思う。釣書は見てないの」


「お見合いなら玲奈のご両親も来るんじゃないの?」


「今回は表向きは『お食事会』で、明後日の金曜日の19時に待ち合わせをしてレストランで食事をするようになってる。梨佳は私の代わりに新藤さんと一緒に食事をしてくるだけで、後は全部私がどうにかする」


 お見合いと言っても両親もいない形の食事会だという。でも、どんな人が来るのか分からないという心配もある。


「変な人じゃないよね。金曜の夜なの?」

「お父さんは『絶対に気に入ると思う』って引かないの。だから、大丈夫だと思うけど、精神的に受け付けないタイプだったら具合が悪くなったとか言って帰ってきていいよ。だって、そこまで梨佳にリスクを負わせられない」


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