晴れのち曇り ときどき溺愛
 玲奈のマンションは会社から歩いていける場所にある。

 会社から徒歩圏内のマンションは家賃も高いので私は少し離れた場所に住んでいる。お嬢様の玲奈は高級マンションの一室に住み、優雅な生活を送っていた。お嬢様の玲奈のお見合いの身代わりをしてから、私のこの物思いは続いている。


 あの時のお見合いに来ていた下坂さんが私の上司になっているという現実を受け入れがたい。今となってもどうしてこのような状況になったのか分からない。混乱中だった。それにしても玲奈が私に話したいということは何だろう。


 考えられるのは会社が吸収合併されたことか、玲奈が会社を辞めた理由?仕事が好きだった玲奈が仕事を辞めた理由も合併でバタバタしていて聞くことが出来なかった。


 玲奈の部屋の1507号室のインターフォンを押すと、すぐにマイクから玲奈の声が聞こえた。そして、オートロックが解除され、私は玲奈の部屋に向かってエレベーターに乗った。高層マンションのエレベーターは速い。すぐに玲奈の住む15階まできていた。綺麗に整えられた廊下を歩き、玲奈の部屋に着くと迷わずインターホンを押した。

 
 1507号室のドアが開き、そこに居たのは玲奈ではなく常務だった。常務が玲奈の部屋から出てくるなんて思わなかったから一瞬心臓が変な動きをした。
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