晴れのち曇り ときどき溺愛
 今日の下坂さんの言葉が頭の中から離れなかった。頑張れるところまで頑張って営業補佐ではなくシステム課の一員になりたいと思う。


 井上さんを私にもつけてくれるというのは見捨てられたわけではない。
 
 少しは期待してくれていると思いたい。
 
 希望的観測ではあると自分でも分かっている。それでも今は辞められない。


「拳からも自分の会社に琉生と私が来てもいいと言ってくれました。私はどこまで出来るか分からないけど、頑張ろうと思います。井上さんが私の教育係をしてくれます」


「私が小松崎くんの会社に行きたい」

「玲奈。少し黙ってろ。話が進まない」

「でも、小松崎くんはなんで琉生と梨佳だけを誘うの?私も誘ってくれていいじゃない」

「秘書は必要ないだろ」


 兄妹漫才のような二人を見ながらも私の心の中は下坂さんで埋められていく。そして自分の中で何かが決まった気がした。泣き言を言っても仕方ないし、だからと言って何かが変わるわけでもない。


「今の会社で頑張ります」

「気持ちは変わらないの?」

「はい」

「わかった。でも、選択肢があることは忘れないで」

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