晴れのち曇り ときどき溺愛
泊まっていけばという玲奈と常務を説き伏せてマンションの下からタクシーに乗ったのは十時を過ぎていた。ワインの酔いは無いけど疲れはしていた。後部座席に深く身体を預けると窓の外が視界に入る。流れる窓から見えるのは下弦の月。細くくっきりとした月は暗天に光を放ち、光の筋を見ながらゆっくりと目を閉じた。
ワインの微かに残ったアルコールが私を静かに眠りに導き始めると不意に下坂さんのことを思い出してしまった。玲奈のマンションに行ったことにより、自分の置かれている状況を知ることが出来て本当によかったと思う。マンションに着くとシャワーを浴びてすぐにベッドに飛び込んだ。
営業補佐としての日々は始まったばかり。今の私に出来ることを頑張って下坂さんにも認められたい。
『見合いの日からもう一度会いたいと思ってた。名前さえわからないのにもう一度会いたかった。五条玲奈さんではない君に』
下坂さんの掠れた甘い声が頭の中で響き、胸の奥がキュッとさせた。考えだすと、ふとした表情が次々に浮かんでいって苦しくなる。これから一緒の営業室で過ごすと思うと、自分の気持ちへの折り合いが心配になるけど、今は寝ることが一番だと自分に言い聞かせ、キュッと目を閉じた。
ワインの微かに残ったアルコールが私を静かに眠りに導き始めると不意に下坂さんのことを思い出してしまった。玲奈のマンションに行ったことにより、自分の置かれている状況を知ることが出来て本当によかったと思う。マンションに着くとシャワーを浴びてすぐにベッドに飛び込んだ。
営業補佐としての日々は始まったばかり。今の私に出来ることを頑張って下坂さんにも認められたい。
『見合いの日からもう一度会いたいと思ってた。名前さえわからないのにもう一度会いたかった。五条玲奈さんではない君に』
下坂さんの掠れた甘い声が頭の中で響き、胸の奥がキュッとさせた。考えだすと、ふとした表情が次々に浮かんでいって苦しくなる。これから一緒の営業室で過ごすと思うと、自分の気持ちへの折り合いが心配になるけど、今は寝ることが一番だと自分に言い聞かせ、キュッと目を閉じた。