晴れのち曇り ときどき溺愛
「行くだけで結構なリスクだと思うけど」

「親友を助けると思って」

「でも…。本当に大丈夫なの?私で?」

「もちろん。梨佳はウチの親も気に入っているくらいだし。あ、お礼にこの前行きたいと言っていた新しく出来たイタリアンレストランのコースを奢る。ワイン付きだし、その後でバーでもどこでも付き合う。それと着て行く服も私が準備するし行くだけにしておくから」


 そこまで言われると本当に玲奈が切羽詰った状況なのだということが分かってきた。一般庶民の私には想像出来ないほどものがお嬢様育ちの玲奈にはあるのだろう。とりあえず行って断ってこようと思った。

「わかった。適当に断ってくる」

「うん。よろしく」


 その後、玲奈と一緒に少しパサついたサンドイッチを食べながら時間を過ごした。内容はいつも通りの雑談で、食事が終わる頃にはお見合いのことを忘れそうになるくらいだった。


「金曜日。よろしく」

「わかった。でも、期待しないでよ。上手くいかないかもしれないから」

「ん。それは大丈夫」

 何が大丈夫なのだろうかと思いながら私は口角が下がっているのはなんとなく気付いていた。



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