魅惑への助走
 「えー。でも最近よく男の子とメールしてるって噂だけど」


 「ああ。高校の同級生なんですよ。最近たまたま再会して、昔のよしみで」


 「……そこから恋に発展ってパターン?」


 「えっ、全然」


 慌てて否定したものの、かえってそれがわざとらしく見られるんじゃないかと心配になる。


 「友達、資格取得試験で忙しくて、それどころじゃないと思うし。第一私が、仕事が恋人状態ですから」


 「恋はいっぱいしたほうがいいよ」


 榊原先輩が、私にアドバイスする。


 「たくさん恋をして、心身ともに満たされて、それを作品に反映させてくれたら嬉しい」


 「先輩も一緒に、恋探ししましょうよ」


 「偉そうにアドバイスする私の方こそ、そんな暇あったら頑張れよって感じなんだけどね」


 榊原先輩は、綺麗なほうの部類に入るのだけど。


 合コンと分類されるような飲み会の場においては、ついまとめ役に徹してしまい。


 「頼りがいのある奴」として評価はされるのだけど、いい人止まりで。


 その先の恋愛関係には、なかなか発展させられないのが悩みの種と語っていた。
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