魅惑への助走
 「次は私に……優しく触れて。私をその気にさせて」


 「う、うん。何とか」


 その手はぎこちない。


 「……痛くない?」


 恐る恐る触れている。


 「もっとそそるようにしてくれないと、感じない」


 「え……、加減が解らないよ」


 女性の肌は綿菓子のようにふわふわとした感触で。


 あまりに柔らかすぎて、壊してしまいそうで怖いと語っていた。


 「壊れたりしないから。……綿菓子だと思うのなら、その口で触れてみて」


 「ん……」


 綿菓子のように、私も溶けてしまいたくてたまらなかった。
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