魅惑への助走
 ……。


 「おやすみ……」


 窓からは月明かりが射し込んできた。


 まだまだ体を重ねていたいけれど、明日は仕事だし、そろそろ疲れてきたので夜明け前には眠ることにした。


 おやすみのキスをして程なく、上杉くんは眠ってしまったようだ。


 今までこんなことしたことなかったのに、二夜連続、濃密な夜を過ごしたため、かなり疲れてしまった様子。


 深い眠りへと落ちていった。


 一方の私は、頭が冴えてなかなか眠れない。


 過去の遊び慣れた男たちとした時ほど、熱烈な行為をしているわけではないのに。


 上杉くんと抱き合うと、心の奥から満たされる。


 やはり愛のある行為は違うものなのかと、シーツに包まりながらしばし熟考していた。


 そしてこの経験を、次の作品に活用できないものかと。


 これから執筆予定のシナリオの構想まで頭に浮かんできて、ますます眠れなくなってしまった。
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