魅惑への助走
 「今日は牛乳ラーメンを作ってあげる」


 一緒に過ごす日は、帰宅して部屋に足を踏み入れるとすぐに抱きしめてもらいたい。


 でもこの日は「牛乳ラーメン」なるものが気になって、まずはそれを味わってから。


 付き合う前は外食ばっかりで、あちこちの店を開拓する楽しみもあったけれど、どうしてもお金がかかった。


 今は節約のため、私の部屋で上杉くんが作る料理を楽しみにしている。


 すでに私は一定の収入を手にしていたけれど、浪人中の上杉くんに無理はさせられなかった。


 贅沢を楽しむのは、上杉くんがに司法試験に合格してからってことで。


 今は我慢、そして夏の終わらないうちに私は車を買う計画を立てていた。


 付き合い始めて初めての夏。


 何日か夏休みをもらえるので、一緒に車で海と温泉旅行に行く計画を立てていた。


 「想像していたよりも、全然美味しい」


 ラーメンのトッピングはコーン、そして野菜。


 どうなることかと不安だったけれど、案外さっぱりしていて美味しい。
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