魅惑への助走
***
「私の友達が車屋さんに勤めていて、そこから購入すればオプションもサービスの上、かなり値引きしてくれるって勧められたんだ」
今日も上杉くんの手作り料理を味わった後。
あらかじめ用意しておいた国産車のパンフレットを、テーブルの上に広げた。
「友達って、大学時代の?」
「う、うん。昔からの知り合い」
……本当はSWEET LOVEに入社してから面識を持った、松平社長の愛車担当の営業マン。
車を買う場合はサービスしますよと、ずっと以前からアピールされていた。
全く面識のない人から購入するのにも不安があったし、後からのメンテナンスなどを考慮すれば、松平社長の担当でもある人から買うのが安心だと判断した。
「明美の車だから。明美の好きにすればいいよ」
「でも百万単位の買い物だし。一人で決めるのもちょっと不安で。……上杉くんが一番、一緒に乗ることが多くなると思うし」
もう未成年ではないので、保護者の許可を得ずとも大きな買い物はできるけれど。
念のため保護者の代わりに、上杉くんの意見を聞いておきたかった。
「私の友達が車屋さんに勤めていて、そこから購入すればオプションもサービスの上、かなり値引きしてくれるって勧められたんだ」
今日も上杉くんの手作り料理を味わった後。
あらかじめ用意しておいた国産車のパンフレットを、テーブルの上に広げた。
「友達って、大学時代の?」
「う、うん。昔からの知り合い」
……本当はSWEET LOVEに入社してから面識を持った、松平社長の愛車担当の営業マン。
車を買う場合はサービスしますよと、ずっと以前からアピールされていた。
全く面識のない人から購入するのにも不安があったし、後からのメンテナンスなどを考慮すれば、松平社長の担当でもある人から買うのが安心だと判断した。
「明美の車だから。明美の好きにすればいいよ」
「でも百万単位の買い物だし。一人で決めるのもちょっと不安で。……上杉くんが一番、一緒に乗ることが多くなると思うし」
もう未成年ではないので、保護者の許可を得ずとも大きな買い物はできるけれど。
念のため保護者の代わりに、上杉くんの意見を聞いておきたかった。