魅惑への助走
 「……海なんて、ほんと久しぶり」


 昼食の後再び車を走らせて、横浜まで到達。


 中華街で遊んだ後、海を見に来た。


 近くの駐車場に車を停め、山下公園の海辺を散策。


 そろそろ夕方に近づいてくる海は、太陽の光を反射させてきらきらと輝いていた。


 東京で自宅と職場の往復をしていると、案外近いにもかかわらず、なかなか海まで出かける機会がない。


 ビルの谷間では、近くに海があるという実感もないまま毎日を過ごしている。


 「夜になったら、観覧車に乗らない?」


 山下公園からそう遠くない、みなとみらいの辺りに、大きな観覧車がある。


 「予約とか要らないのかな」


 「順番待ちがあるのかもね」


 とりあえず夕方までは、海を見ながらぼんやり過ごすことにした。


 八月の下旬とはいえ、真夏日は依然として続いている。


 ここにいると海からの爽やかな風により、暑さは幾分緩和される。
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