魅惑への助走
 その日の夕方、都内のボウリング場へと向かった。


 賑わう街並み。


 金曜日ゆえ都会は人通りが多い。


 仕事帰りに同僚同士で飲みに行く人や、カップルなど。


 様々な人たちが、スクランブル交差点を行き交っている。


 ボウリング場は、複合レジャー施設の二階にある。


 入店する前に、上杉くんのメールを確認。


 急にボウリング大会への出席が決まったことを告げ、遅くなるから先にご飯食べていて、と送信した。


 勉強しながら留守番している……との返信だったけど、本当に勉強するものやら……とついため息。


 このままだったら来年もまずいので、そろそろ真面目に勉強に打ち込んでほしいと願いつつ、徒に時間が流れているのが実情。


 ここでそんなこと考えても仕方ないし、携帯電話をバッグに片付けてボウリング場へ。


 ボウリング場のワンフロア全て貸し切りで、入り口に受付の人がいて、レンタルシューズのサイズを聞かれた。


 「24.5です」


 「はいシューズです。SWEET LOVEの武田明美さんですね。13番レーンとなっております」


 指定されたレーンへと向かった。
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