魅惑への助走
 今回は私たちと同じビルに入居する企業の代表者が集まっての、ボウリング大会。


 同じビルに入っているゆえ、管理費などをお互い支払っており、管理組合にも加入しているため交流がある。


 とはいえ我々SWEET LOVEのような低層階の企業は、小さなオフィスの小規模企業が大部分だけど。


 十階より上の高層階は、オフィスの面積も広くなり企業の規模も大きくなる。


 最上階にはIT関連企業が、ワンフロア貸し切って入居していると聞く。


 同じビル内にオフィスを構えているとはいえ、それらの企業とは業種も違うし、働いている人たちともほとんど面識がない。


 松平社長だったら社長同士の交流はあるかもしれないけれど、一社員にすぎない私には、上層階の大企業関係者とは全く関連がない。


 エレベーターや玄関付近ですれ違っているとは思うのだけど、誰がどこの企業で働いているとか、そういう情報はゼロに等しかった。


 だから今日のボウリング大会も、フロアが近い企業の人たちとは面識があったり、見たことのある顔がいくつかあったものの。


 私と同じ13番レーンの他の三人は、初対面に等しかった。
< 339 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop