魅惑への助走
 ……最初のゲーム、私はなんと45点だった。


 ボウリングをやって以来、最低スコアかも。


 他の三人は皆、150点前後。


 会場全体でも、最低スコアだったようだ。


 恥ずかしくて穴があったら入りたいくらいだった。


 「SWEET LOVEの武田さん、か」


 ボウルをタオルで拭きながら、葛城とかいうこの中では比較的若手のイケメンが私に話しかけてきた。


 レーン上のテレビ画面に表示されるスコア表に名前が表示されるのに加え、面識のない同士でも会話がしやすいよう、参加者全員が名札をつけている。


 「今のは予選会だから、次から本領発揮すればいいんだよ。実際今の結果により、ハンデかなりもらえると思うし」


 予選最下位だった私は、予選のスコアに比例して与えられる本選のハンデが、一ゲーム50点となっていた。


 これに女性用ハンデの一律30点も加われば……。


 一ゲームにつき、合計80点が加点されることとなる。
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