魅惑への助走
***


 この日の飲み会はSWEET LOVE主催じゃなかったため、私は接待側ではなく、一参加者として心ゆくまで楽しむことができた。


 年長の男性たちに絶え間なくちやほやされて、久しぶりにお姫様気分。


 ちょっと飲みすぎて帰り際足がおぼつかなくなっていたら、すぐにタクシーを拾ってくれた。


 どっちにしろもう最終電車も出てしまっているので、タクシーで帰るしかなかったのだけど。


 タクシー代も払ってもらえた。


 しかも回り道をして、家の前まで送ってくれるという。


 デジカメの入った袋と、財布や携帯や旅行券の入ったバッグ。


 私は自分の持ち物の心配をしているだけでよかった。


 タクシーに乗せられ、しばらく経った頃。


 シートの柔らかさが心地よくて、徐々に眠くなってきて……。
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