魅惑への助走
 「あ、だめ……」


 キスをしながらその手は私の素肌を這い、このままシートを押し倒して、体を重ね合いそうな雰囲気。


 「ここじゃ嫌?」


 「嫌です……」


 こんなことをしている間に、信号は何度も青、黄、赤……の交替を繰り返していた。


 いつもそうなのか、この日たまたまなのかは不明だけど、奇跡的にその間、辺りには一台も他の車は通りかからなかった。


 おかげでキスはますます深まり、互いの体はさらに熱を帯び……。


 もう、止められない。


 この夜をこのままでは終えられなかった。
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