魅惑への助走
 交差点にて車の中でキスを重ねるだけじゃ我慢できなくて。


 近くにあった通りすがりのホテルに場所を変えて、こんなことを……。


 後から分かったのだけど、この辺は郊外のラブホテル街。


 マイナーなインターチェンジで高速を降りたのはたまたまだと思っていたけれど、もしかしたらこういう展開になることを計算した上での、葛城さんの予定の行動だったのかもしれない。


 「どうしてここまで」


 「ん?」


 「どうしてここまでして私を……。……どうして私なんですか」


 「……体」


 結局のところそこに行き着くのは、最初から分かっていたはずなのに。


 露骨に体目当てだと言われてしまうのは、やはり切ないものがある。


 「なに勝手に悲しくなってるの」


 私の気持ちは、やはり見透かされているようだ。


 「明美ちゃんの体が忘れられなかったのも事実だよ。一夜のあやまちで終わらすのは勿体無さ過ぎて、こうして二度目もしてるんだから。……だけどそれだけじゃないな」
< 408 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop