魅惑への助走
***
「大丈夫。何か適当に食べているから。家事は俺に任せて」
「分かった……」
男と女の一般的な役割が、まるっきり逆転してしまった私たち。
仕事で遅くなる私に対し、上杉くんは家のことを全てやってくれると言う。
「最近残業や外勤多いみたいだけど、無理しないでね」
「ありがとう」
金銭的に私が養っている面は否めないので、負い目がある上杉くんは私の帰りが遅くても決して責めたりしない。
むしろ労わってくれるのが、心苦しくもあり。
「じゃ、行ってきます」
「お仕事、頑張ってね」
出掛けにおでこにキス。
一見すれば、幸せそうな新婚カップルっぽくも見えるであろう私たち。
でも本当のことは……、上杉くんはもちろん、誰も知らない。
この大きなバッグには仕事用の資料のみならず、外泊用の着替えもこっそり入れられていることも。
「大丈夫。何か適当に食べているから。家事は俺に任せて」
「分かった……」
男と女の一般的な役割が、まるっきり逆転してしまった私たち。
仕事で遅くなる私に対し、上杉くんは家のことを全てやってくれると言う。
「最近残業や外勤多いみたいだけど、無理しないでね」
「ありがとう」
金銭的に私が養っている面は否めないので、負い目がある上杉くんは私の帰りが遅くても決して責めたりしない。
むしろ労わってくれるのが、心苦しくもあり。
「じゃ、行ってきます」
「お仕事、頑張ってね」
出掛けにおでこにキス。
一見すれば、幸せそうな新婚カップルっぽくも見えるであろう私たち。
でも本当のことは……、上杉くんはもちろん、誰も知らない。
この大きなバッグには仕事用の資料のみならず、外泊用の着替えもこっそり入れられていることも。