魅惑への助走
 「ふふ……」


 食事を終え、後片付け(食器洗い機に入れるだけ)も済ませ。


 テレビ観賞をしながら、再びソファーの上でいちゃついている。


 さっき食事の際、急に切なくなってシリアスなムードに包まれたけれども。


 今はまたいつもの甘い二人に戻っている。


 じゃれ合っているうちに、気分も高まってきて……。

 
 「いい?」


 さっきの続きを求められる。


 「私の好きなCDかけてくれたら、いいよ」


 「BGMって必要?」


 上杉くんは苦笑する。


 さっきまでテレビで懐メロ特集をやっていたため、久しぶりに昔好きだった曲のCDを流したくなった。


 「CD収納ケースの中に、ベストアルバムが入っているから」


 私をソファーに残し、上杉くんは収納ケースの中を探し始めた。


 そこに懐かしのベストアルバムが入っているはずだったのだけど……。


 「うーん……。紛らわしいのがたくさんあるな。この、『ラブ・バラードは永遠に』ってやつ? 韓ドラみたいなジャケットの」


 「え……」


 私は驚いた。


 それはCDなどではなく、SWEET LOVEで少し前にリリースしたアダルトDVDだったから。
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