魅惑への助走
これまでずっと愛のまま、思うがままに抱き合ってきた。
ただ冷静に考えると、それにより妊娠の可能性があるという事実は常に横たわっている。
一時の快楽の代償は大きい。
今、子供ができてしまったら……。
私が幼い頃は、女の子は学校を出て就職してしばらくしたら、結婚してやがて子供を産むのが当然だと誰しもがみなしていた。
私も同様に。
いつか誰かと結婚して、その人の子供を産むんだろうなと漠然と。
上杉くんこそが運命の人だと信じて、何度も何度も体を重ねてきた。
いずれ結婚することになるかもという予感はあったけれど……今は子供を作るタイミングではない。
妊娠出産育児ともなれば、様々なハンデを背負わなければならないから。
仕事はやっと軌道に乗り、責任のある任務も増え、公言しにくい内容とはいえ非常にやりがいがある。
今、第一線を退きたくない。
せっかく手にした重要なポジションを、手放してしまいたくない。
そして最大の理由が、収入が減ってしまうこと。
今私が第一線を退けば、生活が破綻する。
上杉くんが必ず来年は、司法試験に合格するという保証は何もない以上。
ただ冷静に考えると、それにより妊娠の可能性があるという事実は常に横たわっている。
一時の快楽の代償は大きい。
今、子供ができてしまったら……。
私が幼い頃は、女の子は学校を出て就職してしばらくしたら、結婚してやがて子供を産むのが当然だと誰しもがみなしていた。
私も同様に。
いつか誰かと結婚して、その人の子供を産むんだろうなと漠然と。
上杉くんこそが運命の人だと信じて、何度も何度も体を重ねてきた。
いずれ結婚することになるかもという予感はあったけれど……今は子供を作るタイミングではない。
妊娠出産育児ともなれば、様々なハンデを背負わなければならないから。
仕事はやっと軌道に乗り、責任のある任務も増え、公言しにくい内容とはいえ非常にやりがいがある。
今、第一線を退きたくない。
せっかく手にした重要なポジションを、手放してしまいたくない。
そして最大の理由が、収入が減ってしまうこと。
今私が第一線を退けば、生活が破綻する。
上杉くんが必ず来年は、司法試験に合格するという保証は何もない以上。