魅惑への助走
 「おい、お前も見ろよ」


 男は私の顔を、無理矢理テレビ画面のほうに向けさせた。


 「え……」


 画面の中で絡み合う二人は、体勢を変えていた。


 女優は男優に命じられるがまま、さらに気持ちよくなるために舌で……。


 「こんなの嫌」


 思わず顔を背けてしまった私に、


 「嫌、じゃねえだろ。見てもっと勉強して、俺を楽しませろよ」


 「……」


 男は再度、私の顔を画面の方へ無理矢理向けさせた。


 画面の中、絡み合う二人は気持ちよさが増し、甘い声はさらに高まりそして……。
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