魅惑への助走
***
イヴの夜は葛城さんの腕の中で過ごし、そのままクリスマスを迎えた。
クリスマスは三連休の最終日で、日曜日。
ずっとここにいたかったけれど、そうはいかない。
「明日からまた仕事だし……。それに」
「あいつとのこと、きっちりけり付けないとならないしね」
「……」
いつまでも自宅を留守にしてはいられない。
あの部屋は私名義。
別れ話の途中で飛び出して、今後どうするかなどの話し合いも中途半端になったままだ。
何もかも解決させなくては。
「やっぱり心配だ。俺もついていこうか?」
上杉くんが逆上して予期せぬ行動に出てくるんじゃないかと、葛城さんも心配してくれている様子。
「大丈夫です。自力で片付けます」
葛城さんが登場すれば、事態は余計こじれそうでまずいので、申し出を断って一人で部屋へと帰った。
上杉くんが私をAV女優だと誤解しており、それが嫌で別れ話を積極的に進めている以上、葛城さんの登場は話をかえってややこしくしてしまいそうなので。
私は一人、ほぼ一日ぶりに部屋に足を踏み入れた。
イヴの夜は葛城さんの腕の中で過ごし、そのままクリスマスを迎えた。
クリスマスは三連休の最終日で、日曜日。
ずっとここにいたかったけれど、そうはいかない。
「明日からまた仕事だし……。それに」
「あいつとのこと、きっちりけり付けないとならないしね」
「……」
いつまでも自宅を留守にしてはいられない。
あの部屋は私名義。
別れ話の途中で飛び出して、今後どうするかなどの話し合いも中途半端になったままだ。
何もかも解決させなくては。
「やっぱり心配だ。俺もついていこうか?」
上杉くんが逆上して予期せぬ行動に出てくるんじゃないかと、葛城さんも心配してくれている様子。
「大丈夫です。自力で片付けます」
葛城さんが登場すれば、事態は余計こじれそうでまずいので、申し出を断って一人で部屋へと帰った。
上杉くんが私をAV女優だと誤解しており、それが嫌で別れ話を積極的に進めている以上、葛城さんの登場は話をかえってややこしくしてしまいそうなので。
私は一人、ほぼ一日ぶりに部屋に足を踏み入れた。