魅惑への助走
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 その後も私は、書きたくもないオフィスラブを指示に従って書き続けた。


 携帯小説サイトに連載し、巧みに編集部のおススメ作品やら特集コーナーに掲載され、他の作家より読まれやすい環境を与えられている。


 すでに書籍化の経験があるので、次の書籍化へのステップというかハードルは、未経験のその他大勢の作家よりははるかに低い。


 サイト内における知名度に加え、作品も編集部のお墨付きを頂戴しており、黙っていてもランキングが上がっていく。


 何日間かランキング一位をキープし、それは書籍化のGOサインとなり、発売前の情報解禁の日まで水面下で校正など、密かに編集作業が行なわれることとなる。


 私が渋々オフィスラブものを執筆し続けているその一方で、SWEET LOVE初の専属男優・佐藤剣身となった上杉くんは。


 数ヵ月後に発売が予定されている、初の単独主演長編作品『Vengeance~最高の復讐~』製作準備と並行して。


 毎月一度、オムニバス作品に出演~リリースを繰り返していた。


 何ヶ月間も露出がストップすると、せっかく獲得したファンに忘れられてしまう危険性がある。


 その穴埋めとして毎月一作品ずつ短編に出演し、演技を磨くのと同時にファンをリピーター化させるのだ。
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