魅惑への助走
 今回の作品は、吸血鬼(ヴァンパイア)ものでファンタジー。


 家同士が定めたお見合いで、望まぬ結婚を強制された女は何もかもが嫌になり、家を飛び出す。


 さまよい歩くうちに女は街外れの古い洋館に迷い込み、そこに住み着いたヴァンパイアに捕らわれの身となり誘われるがまま。


 閉じ込められた塔の中、揺らめくキャンドルの灯りの中……。


 「もっと……吸って……」


 女は首筋に牙を突き立てられ、牙を刺され血を吸われるという行為に快感を覚える。


 そして狂いそうな快感の中、さらなる高みを求めてヴァンパイアに身を委ねる……。


 「照明をもっとゆるやかに」


 社長の指示が出る。


 ヴァンパイア役の佐藤剣身の妖しげな魅力はどうすれば最大限に発揮できるか、試行錯誤しながら撮影は続いている。


 闇の中、女の首筋へと突き立てられる牙。


 あの牙は歯に何を装着しているのだろうかと気になった。


 血を吸われながらの行為により、この世では得たことのないエクスタシーを手にする。


 性行為への移行場面は、強引になると巷に溢れるエロビデオ同様なので、流れるように場面を展開していくことが要求された。
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