魅惑への助走
 ……その後。


 私は予定通り、携帯小説家「あけび」としての最後の作品を発表した。


 AV制作会社に勤務する女の子のお話し。


 自社で製作する作品への出演常連であるAV男優に、密かに想いを寄せているが……?


 という展開。


 必ずしも全てが私の今の状況を投影しているとは限らない。


 第一私の佐藤剣身に対する感情は……恋愛感情というよりも贖罪の色合いが強い。


 少なくとも今は。


 佐藤剣身への複雑な感情を一部反映させて仕上げた作品。


 これまでヒット作を連発してきた「あけび」の最後の作品であると大々的に宣伝されたため、過去最大のヒットを記録した。


 一方梨本さんは。


 その後magic theater主催の「編集者が携帯小説執筆にチャレンジしてみた」という企画の下、見事携帯小説家デビューを果たす。


 チャレンジ状況を刻一刻とサイト内のブログにて公開していくという、読者も一緒に成長を見守ることができる企画。


 程なくして無事に完結。


 やはり今まで携帯小説作品の編集に携わってきたこともあり、ユーザーのニーズを上手く刺激する作品を仕上げて来た。


 予想通り確かな手ごたえ、売り上げという結果もきちんと残した。
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