ひゃくぶんの、いち。
現役の高校生にとって卒業式は一大イベントなんだし、過ぎた後には何とでも言えるに決まってる。
早すぎるんじゃないかと思うけれど、姉が急かすものだから、そんなものなのかとも思うし…
ちらりと時計を見ると、家を出ようと思っていた時刻の三十分前。
「じゃあ、行ってくる」
「え?待って待って。送るよ?」
「いらない。最後くらい通学路歩いて行く」
車で送ってもらったりした時には、クラス会の真っ只中ってことくらいわかりきってる。
それらしい理由を取ってつけてみれば、単純な姉はすぐに納得した。