ひゃくぶんの、いち。
賑やかな声が聞こえる。
きっと、以前の私なら羽柴くんの音を拾おうとした。
楽しげな姿が見える。
きっと、以前の私なら羽柴くんの背中を見つけようとした。
出来ないとしても、出来るかもしれなかったから。
今の私は違う。
出来ないとして、やってみてもきっと出来ない。
竦む足がようやく動いたと思うと、景色は一歩前のものに戻っていた。
伸ばしかけたはずの手は、スカートを掴んでいた。
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