ひゃくぶんの、いち。
「こっち向いてくれないの。わからないなら、聞いていいよ」
「やめとく。何も聞かなくていいから」
「俺は訊きたいことが沢山ある」
見つけたかったのに、見つけてくれた。
話しかけたかったのに、話しかけてくれた。
最後まで、優しい人。
「…答えてくれないなら勝手に話すけど」
痛くたって辛くたって流すことのなかった涙が今さら溢れて、アスファルトの隙間に潜り込んでいく。
一歩、また一歩と歩き始めた私を引き留めてくれるなんて期待しながら。