ひゃくぶんの、いち。


「髪、伸びたね」


「見ないで、こんな私、痕だらけで」


「短い髪は一度しか見れなかったの、残念だな」


「…ごめんなさい」


何に対して謝ってるのかなんて、私もわからない。


困惑して、理解が追い付かなくて、目の前にいる羽柴くんが夢か現さえ曖昧なのに。

でも、これが最後だから。

夢だと思って、現だと願いながら。


「あの時まで、私羽柴くんのことが好きだったよ」


「…うん。今は?」


「好きだった、って言えるようになったよ」


羽柴くんは思わせ振りなことはしない。

その言葉に期待をしてしまう方が悪い。


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