ひゃくぶんの、いち。
伸びた髪で首筋は覆えるとして、顔の右部分の瘢痕をどうカバーするのかは既に姉と話してある。
このままで。ありのままで。
見慣れるまでは自分でさえ目を逸らしたくなっていたような有り様だけれど、それでもこのままでいたい。
「でも、千華って髪切る前はずっと結ってたよね?ポニーテール。好きだったんでしょ」
「そうだけど…」
髪を切る前まではずっと高い位置で結っていた。
中学の頃、運動部に入っていた時の癖で、下ろしていると落ち着かなかったから。
ずっと迷ってはいた。
短い髪を新鮮だとは言ってくれたけれど、ずっと結っていたことにも気付いていてくれた羽柴くんは、どちらがいいかなって。
あの時の言葉を思い出しては、何度も。