ひゃくぶんの、いち。
悩む私を見兼ねてか、こうしよっか、と姉が提案をしてくれる。
「高く結んでも簡単に解けるようにしてあげよっか。彼と会ってから決めな」
「目の前で解いたら変じゃない?」
「変だね。変だけど、変じゃないよ。それでいいんだよ」
「…そっかぁ」
変だと思うんだけど。というか、姉も変だって言ってるけど。
簡単に解けるとはいっても自然と崩れることはないらしいから、一応そうしてもらうことにした。
晴れやかな空とは真逆の心の内が、その色に埋まらないように、窓越しに揺蕩う雲に想いを預けてしまいたかった。
一分の一スケールで私のものであるはずの羽柴くんへの気持ちに自信を持てない。
離れていた時間が、今になって背中にのし掛かる。
肩に添えられた姉の手も、繰り返される『大丈夫』も、それらを払うには至らない。