ひゃくぶんの、いち。
翌朝、不安と緊張でろくに眠ることさえ出来なかったけれど、何とか隈は彫らずに一夜を明かした。
打ち合わせ通りに髪を仕上げてくれた姉に、制服に腕を通すのも手伝ってもらう。
以前と変わらず、ぴったりと体に馴染む分、私服では慣れていたはずの右腕がないという感覚が不思議に思える。
「さ、そろそろ式が終わる頃かな」
「もう出るの?」
「クラス会ってそんなに時間かからないでしょ?たかが高校の卒業くらいで」
二年次までの成績と休学扱い中の課題の提出が考慮されて出席日数はギリギリまで誤魔化してもらえたから、実際に卒業はすることになる、のだけれども。
事情も知らないクラスメイトの前にぱっと出ていきなり、一緒に卒業します、と言われても反応に困るだろうと思って式もクラス会も遠慮することに決めていた。
その後のほんの少しの時間、各々の時間にお邪魔させてもらうだけで十分。