ラストソング
第一章
18回目の誕生日
私には物心ついたころから母親がいない。
18年間ずっと、父さんが男で一つで育ててくれた。
母のことはほとんど何にも知らない。
1度写真で顔を見たくらいだ。
1つ、18年ずっと気になっていたことがある。
父さんは毎年、私の誕生日に決まってどこかへ出かけていく。
そのことについて、何度か尋ねたことがあった。
でも、父さんはいつも適当に誤魔化して教えてくれなかった。
そして今日、
18回目の私の誕生日を迎えようとしていた。