公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「本当にごめんなさい……」
随分と心配をかけたことを謝れば、また叱られた。
「謝るんじゃないよ。クレアはお礼を言われなきゃならない。急に物価が下がるは、無料診療が始まるわで、みんな目ん玉飛び出してるよ。どうにもならなかったこの町を、あんたが命懸けで変えてくれたんだろう?」
ドリスの頬に涙が伝う。
それを隠そうとするかのように、私の頭を抱き寄せて、「ありがとうね」と何度も何度もお礼を言った。
照れ臭くて、嬉しくて、幸せな心持ちでドリスの肩に潤んだ瞳を押し当てる。
やっぱり帰ってきてよかったわ。
ここが私の生きる場所。
そうよ、なにも間違えてないのよ……。