手のひら王子様
「……バカ」


「バカは無いやん! だいたい、関西人にとってバカって言葉はアホの何倍も傷つくんやで!」



呆れ顔で返したわたしが気に入らなかったらしい。



やったら大きい声でバカとアホのことで吠え始めた……。



もぉ……。



小学生でも言わないよ、そんなこと。



「桜菜も志倉家に嫁ぐならその辺は心得とかなアカンで。家はこっちやけど、家族みんな関西人やし……」


「また言ってる……。だいたい嫁ぐったってサイズ違う」



待って。


家族みんな関西人なの?



家はこっちにあるって……なんで?



それに、すっごく根本的な疑問。



「……椋太朗の種族の人、どこに住んでんの?」



わたしからの質問に、椋太朗はちょっとばかし動揺してるみたい。



ソワソワしながら目を逸らして、



「そりゃあ~世界各地に……」


歯切れの悪い答えが返ってくる。



「普通サイズの人に見つかったことないの?」



「さぁ~? あったりなかったり?」



こう言って答える椋太朗の目線はさっきから泳ぎっぱなし。


椋太朗……。



アンタ、嘘が下手すぎ……。
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