手のひら王子様
少し間を置いて、椋太朗は深く息を吸い込んだ。



そして、


「俺は人間じゃない」



いつになく真剣な顔でわたしを見つめてる。



「うん」



それにわたしは静かに頷いた。



しばらくの沈黙……。


そして、



「ビビれよ! えっ!? とかいうリアクション無いやん!」


なんでリアクションのダメ出し……?



「無いよ。わかってたもん」



……どう見たって人間じゃあ無いよね~。



これを聞くなり椋太朗はがっくりとうなだれてしまった。



何を期待してたんだか……。



「まぁ……安心した。桜菜に嫌がられんで良かった」



そう言って軽く微笑み、ちょっと安心したような呟き。



ホントに表情がコロコロとよく変わる人だなぁ……。



……人じゃないか。



「体は作り物でも、俺の心は人間やからっ! 桜菜への愛は本物やでっ」



こう言って、めっちゃ良い笑顔をわたしに振りまいてくる……。



いやぁ……。



そんな自信満々な顔されても……。



どんだけ愛だの嫁だの言ったって、




アンタが手のひらサイズなことに変わりは無いからね?



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