手のひら王子様
そこには、背の高いスーツ姿の若い男の人がすっごい不審そうにわたしを見下ろしていた。
「えっ? いやぁ……」
上手い言い訳も見つからず、思わずしどろもどろしてしまう。
そんなわたしの手を、椋太朗がバッグの中から両手で引っ張った。
「走れっ桜菜!」
椋太朗の声につられるようにわたしは、バッグを両腕に抱えて全力疾走した。
走る背中に小さく、
「椋様っ」
聞こえた気がした。
「えっ? いやぁ……」
上手い言い訳も見つからず、思わずしどろもどろしてしまう。
そんなわたしの手を、椋太朗がバッグの中から両手で引っ張った。
「走れっ桜菜!」
椋太朗の声につられるようにわたしは、バッグを両腕に抱えて全力疾走した。
走る背中に小さく、
「椋様っ」
聞こえた気がした。