手のひら王子様
珍しく口を閉ざした椋太朗が真っ直ぐにわたしを見つめてくる。



言うまで諦めないんだろなぁ……この顔は。



椋太朗のしつこさに折れたわたしは、軽いため息をついて口を開いた。




「百合菜……お姉ちゃんと一緒に居るのがイヤだったの」



口を開いたわたしを椋太朗はぼんやりと見上げている。



きっと……椋太朗が想像してた答えと全然違う答えだったんだろな……。



表情一つ変えずにこんなことを言うわたしにきょとんとした顔してる。



「なんで?」


不思議そうに首を傾げた椋太朗がわたしを見上げていた。



その顔を見たら、もっともっと言いたくなる……。



わたしにバカみたいに散々好意をアピールしてくる椋太朗が、



わたしの子どもっぽくて嫌なところを見たらどんな反応するのかな……。



ひねくれた好奇心がわたしの口を動かしていく。
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