手のひら王子様
二つ上の姉、百合菜は生まれつき体が弱い。


小さい頃からしょっちゅう高い熱を出しては入退院を繰り返してた。


少しでも百合菜の体の為になるようにって引っ越もした。



それでも、



「運動会で一番になっても、劇で主役になっても、百合菜が熱を出したら両親は百合菜しか見えない」



わたしは、一度だって嫌とは言わなかった。



それを当たり前に受け取る両親も、



全ての原因である百合菜も、



「嫌だから反発して家を出た」



全部嫌になった。



淡々と話していくわたしの話を聞いてる椋太朗の顔はさっきから変わらない。




相変わらず不思議そうにわたしを見つめてるだけ。



そんな椋太朗の方がわたしには不思議。




ねぇ。



こんな子どもっぽいワガママ言ってるわたし……、



アンタはどう思ったの?
< 27 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop