手のひら王子様
「ふーん。そうなんや」


「…………」



……なんでそんにアッサリしてるのコイツの反応。



わたしの悩みをまるで世間話の相づち程度に受け流す椋太朗に軽い憤りとショックを受けた。



「俺はそんな親にならんで。俺たちはちゃんと子どものこと、見てやろうなぁ」


そんなわたしの心境も知らずに、すっごい満ち足りた笑顔でこの発言……。



「……ごめん。無言でフォーク向けるのやめてくれる?」



わたしが突き出したフォークを避ける椋太朗は笑いながらも顔をひきつらせている。



今度こそ志倉邸の門から放り投げてやろうって本気で考えた。



違う……。



こんなバカに真剣に話したわたしがバカだったんだ……きっと。



「……椋太朗だって自分の子どもが健康な子と病弱な子が居たらそっちに目が行くよ」


「そりゃあ……可愛い我が子が病気でしんどい思いしてたら心配やしな」


「…………」


やっぱりね。


それが普通の感覚だってのはわかってる。


誰だって病気は心配だもん……。


「でも、その時は桜菜が傍におったたらええやん。俺が元気な方とおったる」
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