手のひら王子様
「椋様が高校生になられる直前、旦那様は再婚されることになったんです」
再婚される旦那様に、椋様は大きく反発されました。
続けられた椿雪さんの言葉で、漸く繋がる椋太朗の反発の理由……。
でも、らしくない気がする……。
「椋太朗なら……一緒になって喜びそうなのに」
小さく呟いたわたしに椿雪さんはやっぱり優しく微笑んで、頷いてくれた。
「母さんのこと、忘れたのか? ……なんてすごい剣幕で旦那様に噛みついて……。そのまま啖呵切って一人暮らしです」
こう言って肩を竦める椿雪さんが、ゆっくりと椋太朗に視線を下ろした。
「……椋様は、ホントは喜んでたんですよ。旦那様が元気も幸せも取り戻してくれることに」
静かに紡がれていく椿雪さんの言葉はさっきまでの淡々としたものでは無く、まるで眠る椋太朗に語りかけるみたいにゆっくりで穏やかだった……。
再婚される旦那様に、椋様は大きく反発されました。
続けられた椿雪さんの言葉で、漸く繋がる椋太朗の反発の理由……。
でも、らしくない気がする……。
「椋太朗なら……一緒になって喜びそうなのに」
小さく呟いたわたしに椿雪さんはやっぱり優しく微笑んで、頷いてくれた。
「母さんのこと、忘れたのか? ……なんてすごい剣幕で旦那様に噛みついて……。そのまま啖呵切って一人暮らしです」
こう言って肩を竦める椿雪さんが、ゆっくりと椋太朗に視線を下ろした。
「……椋様は、ホントは喜んでたんですよ。旦那様が元気も幸せも取り戻してくれることに」
静かに紡がれていく椿雪さんの言葉はさっきまでの淡々としたものでは無く、まるで眠る椋太朗に語りかけるみたいにゆっくりで穏やかだった……。