手のひら王子様
再会……そして
わたしはずっと独りぼっちだって勘違いしていた。




でも、ホントの独りぼっちはわたしなんかじゃない……。




「わたしは……」




椋太朗がわたしを選んで傍に居るって言うなら、わたしだって椋太朗を選んで傍に居る。



「わたしは……椋太朗が必要ですっ」




わたしが椋太朗を必要とする限り、椋太朗もわたしを必要として欲しい。




そしたらわたしは、椋太朗を独りにさせない。




「これって……プロポーズやんな?」



「えっ? わぁっ!!」



聞き覚えのある声と共に、わたしは後ろから不意に手を引かれてバランスを崩した。




倒れ込んだ先で待っていた感触。




柔らかいベッドに座り込んだわたしを、背中から包む体温。




ゆっくり振り返れば、



「生桜菜や……。やっぱり良い匂いが……」



「第一声からその発言はなんですかっ。はしたないですよっ」



椿雪さんにおでこを叩かれる、本物の椋太朗が居た……。

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