手のひら王子様
笑ってる顔が見てみたい。


全ての始まりはそこからやった。


椿雪に送ってもらう車の中から毎日同じ場所ですれ違う女の子。


学年は多分俺より下。


ちっこい身長に可愛い顔してる癖に、その表情はいっつも無。


たまに友達とおるとこを校内で見かけるけど、めっちゃ可愛い顔して笑ってた。


あれを俺の前で見せて欲しい。


俺はキミを笑顔にしたい。


愛らしい姫を守る王子様みたいに……。


「支倉~。2年の教室見つめながら呆けてないでさっさと教室入れ」


俺の至福の時は担任の間延びした声でストップした。


はぁ……もうちょっと見ときたかってんけどなぁ。
彼女の笑顔。



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