手のひら王子様
ありのままで彼女にぶつかってみよう。


変な顔されたりするかもしらんけど、俺にはクールでシュッとした王子様なんて無理や。


その代わり。
俺のアホみたいに元気な部分はわけてあげられると思うから。


「やったら俺、ありのままで声かけてみる!」


「まぁ、ほどほどになさってください。初対面の方にあなたのまくし立てるような関西弁は暑苦しいですから」


「うるさいわ! さっきと言ってること全然ちゃうやん!」


くすりと笑った椿雪がバックミラー越しに見えた。


彼女の目に俺はどう映るかわからんけど俺なりにがんばってみる。


彼女の白い頬っぺたが桜色になって、あの可愛い笑顔で俺に笑いかけてくれるように……。

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