手のひら王子様
そして俺に向かって右手を差し出し、


「そんなところも好きだよ」


にっとはにかんでみせた。


だから……なんでそんな可愛い過ぎることすんねん!


さっきまで絶望感いっぱいやった俺の心は、打ち上げ花火の勢いで幸せの絶頂までグンッと上がっていく。


「桜菜ー! 俺も桜菜が大好きやで!」


「も、もう! すぐに調子に乗る!」


「へへっ。ええやんええやん、ホンマのことなんやから!」


差し延べられた桜菜の手をギュッと握り締め、反対の手で螺旋階段の手摺りを掴んだ。


あの時この螺旋階段から落ちへんかったら、俺と桜菜は今みたいに手を繋いだり笑い合ったりすることもなかったんかもしれん。


そう思ったら、親父が付けたいって言ったこの趣味の悪い螺旋階段にもちょっと感謝やな。


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