今度産む
勇猛果敢


嗚咽をあげるほどひとしきり泣くとすっきりしたせいか、猛烈に恥ずかしくなる。
女の胸元に顔をうずめる。


「お兄さん、その彼女さんのこと大好きだったんだね」

そうだ。
大好きだった。

彼女しかいないってずっと思ってた。

彼女の描いていた、最低でも子どもは二人ほしいと言っていた、その子どもはオレとのコだと思っていた。


なのに、オレは彼女を裏切り続け、あげくあんな別れ方して。

周りには「こっちからフッてやった」だとか「あの女、最悪だった」だとか吹聴してまわった。


「わたし、バカだからさ、よくわかんないけど、」

女はオレの頭を柔くなでてくれる。

「彼女はきっと幸せになれるよ」
「そうかな」

そうだといいな。

「だって、わたし、お兄さんのこと好きだもん」

ん?
好きっていうのは色々あるが……。

第一、どこからどう派生したらそうつながるんだ。

意味がわからず、思わず首をかしげる。


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